2時間目 生活の問題を発見する方法について知ろう!

 それでは,生活の問題を発見する方法について解説していきたいと思います.生活をよりよくする方法について研究する学問領域に「家政学」があります.
みなさん,聞き慣れない学問だと思います.

 日本で初めて家政学を学ぶことができる大学として設立されたのは日本女子大学です.2015年のNHK朝の連続テレビ小説「朝が来た」で波瑠さん演じる広岡浅子さん日本女子大の創設者として有名です.現在も多くの大学で家政学を学ぶことはできます.

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 さて,この家政学で考える「生活をよりよくする方法」,実は経営学的な考えを応用しています.会社は,会社の持つ資源,例えば社員・資産・社屋・設備・コネクションなどをフル活用して,企業の利益向上や会社の成長が目的だと思います.この考えを「生活」に応用してみます.


 個人・家族が持つ生活資源,例えば食べ物・着るもの・住まい・お金・家族・地域の人などをフル活用して,個人・家族の生活や人生の目標を達成することが目的と解釈できます.このように,会社経営のフレームを生活に応用してみると,これまで見えなかったものが見えてくるように感じます.1978年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの研究者ハーバード・アレクサンダー・サイモン(1916-2001)は,『意思決定の科学(1979)』の中で,問題を次のように定義しています.問題とは,理想と現実とのギャップの原因であるつまり,理想(目標や目的)と現実・現状との間にはギャップがある.そのギャップが生じている原因を問題とするということです.

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 この問題を明確に捉えなければ,よりよい解決には繋がらないとしています.この問題の定義がどの程度経営学や経済学で認知されているかは不明ですが,このフレームは生活にとても役立つのでは,と感じています.
生活に応用してみると次のようになります.

(1)今の生活を広く捉えて現状を知る


(2)理想的な生活(近い将来,遠い将来,時間軸はたくさんあります)とはどんな生活か,どんな生活をしたいかを設定する


(3)現状と理想とのギャップの原因を突き止める


(4)そのギャップを埋めるにはどうしたらいいか考える(課題を設定する)


(5)ギャップを埋めるための計画を立て,実際に実践してみる


(6)実践結果を評価し,さらなる問題を発見するこのようなプロセスで生活の問題を明確に発見し,その問題に対する最適な解決方法を見出し,実践する

 

 2時間目からは,生活を広く捉えながら,問題発見・解決していく様子や事例を紹介していきたいと思います.